今後、保険代理店は誰からも必要とされなくなる。そんな業界になりつつあります。テレビのCMなどで、たくさんの保険会社が宣伝をしています。
しかし、保険料をどこかの会社が下げれば、その他の保険会社もこぞって保険料を下げ、保険を販売する代理店は手数料が減り商売として成り立たなくなってきました。
代理店の廃業・合併やIT社会や景気の変化、保険代理店事業は今後どこかで何かを変えなければ『昔あった職業』となってしまいます。そんな保険業で生きていくのかどうかを考えられる記事を書いてみました。
保険代理店の種類は数えきれないほどある
今の保険業界は、代理店の経営が複数の仕組みから成り立っています。
具体的には
・法人代理店(保険業のみをする代理店)
・法人代理店(保険業以外のビジネスもしている代理店)
・法人代理店(小会社・関連会社として自社内で保険代理店を行う)
・個人代理店(保険業のみをする代理店)
・個人代理店(保険業以外のビジネスもしている代理店)
・金融系代理店(郵貯・銀行窓口)
・保険会社の関連会社扱いの代理店(保険会社OBなどが役員になっている代理店)
この複数の保険会社を取り扱う代理店もありますが、各代理店がたくさんある保険会社毎にあると思うと膨大な数です。
拡大しない市場・減っていく保険料
保険業界の現状は、新規の加入者は圧倒的に少なく、保険の見直しからの提案が契約の大半を占めています。
要するに、『奪い合い市場』ということです。経営関係の書物ではレッドオーシャン市場と呼ばれるマーケットです。新規の加入者は景気の波や保険料の値下げ競争で益々保険料は落ち込んでいき、最終的に保険の営業マンや代理店の経営者の懐を圧迫していきます。
手間が掛かり、儲からないビジネスになり、企業が小会社に代理店をさせているケースは今もありますが、事業撤退の方が圧倒的に多いです。
今では、ある程度従業員を抱えている大企業でなければ、保険代理店を維持することすら難しいと言えます。
減額する保険料とIT化
自動車保険に関しては、自動運転システムや自動ブレーキシステムの搭載車の事故率が下がっていることから、システムが導入されている車両に関して保険料の引き下げが始まりました。
それにより、保険代理店は同条件での契約維持でも等級進行と保険料の値下げで、横ばいの売り上げでは減収となってしまうようになりました。
更に、ネット型・通販型保険は人件費が掛からないため保険代理店が販売する商品では勝てないプライスバリューをネット型・通販型保険は持っています。
若年層はスマホやタブレットで保険に加入することが多く、おまけに保険料まで安ければ余程のスキルがなければ保険の見直しを成功させることは難しいと言えます。
保険のIT化は『高齢代理店』への引退勧告
IT化は保険の割引だけでなく、契約締結の方法は事務作業までもIT化が進んでおり、『ペーパーレス化』を目的にipadなどのタブレットでの契約締結の増えています。
そんな中、高齢代理店と呼ばれる昔ながらの地元密着型の保険代理店は、高齢の保険募集人が多く、システムの導入予算が確保できないことや、電子機器を使いこなすことができないことに保険会社は頭を抱えています。
それでも強行的にペーパーレス化できていない代理店にはペナルティを課す保険会社もあります。
合併や廃業を推奨する保険会社
保険そのものの減収やペナルティ、コンプライアンスの徹底で代理店を維持させるのがギリギリだ、というところも非常に多く、廃業しなければならなくなった保険会社も多くあります。
保険会社は成長が見込まれる規模の大きい代理店との合併を勧めることも増えてきています。
廃業した保険代理店の顧客は、また規模の多い保険代理店へ保険契約の保全(アフターフォロー)をお願いする代わりに代理店手数料が増える。という規模の大きい代理店しかビジネスとして、旨味はない市場になっています。
保険会社の幹部候補への期待値
現在の保険会社は保険代理店の合併を推し進め、顧客の囲い込みができる資本なども含め、余裕のある代理店を非常に優遇する傾向にあります。
その中で驚きなのが、一部の保険会社で幹部候補としてキャリアアップした人材へ「代理店数をどれだけ減らせるか」という部分が人事考課の一つとされています。
自社の保険代理店を減らし、強い代理店を育てることで自社同士の顧客の奪い合いから、『他社の顧客を奪う』ことへ目線を変えることも意味しています。
そんな奪い合いの市場にいること自体が、リスクであることをしっかり心得なければなりません。
今後の保険屋の身の振り方
代理店を経営している方は、この記事を読む前にも不安は身を持って感じていると思います。保険の営業マンと違い損害保険は特に寝ていても更改すれば、代理店手数料は目減りしても固定で入ってくるので、代理店を辞めるのは躊躇してしまうでしょう。
しかし、目減りが進行していき経営が苦しくなってから動き出すことにもリスクが生じます。経営困難な状態からだと、合併や提携ができず、足元を見られ自社の顧客を丸呑みされてしまう可能性があります。
代理店の継続以外の道は限られていて、早い段階で大型代理店との提携を行い、保険業から撤退する方法が一番スタンダードでしょう。
或いは、全く別の角度からのアイディアとしては、転職サイトを利用したりヘッドハンティングや人材関連のエージェントを活用したりして、大型代理店の管理職として雇われの身になるのも安定性が高まります。
代理店の営業マンをしている方は、保険の契約を取っても給料が増えなかったり、むしろ報酬体系の見直しなどで給料が下がったりしている方も多いと思います。
同僚などが転職していくことも多い中、そこで自分はどうすれば良いかと悩む日々が続くでしょうが一つ逆張りを挑むこともできます。
今後益々、転職が増える保険業界は人材不足が予想されています。保険会社は既に即戦力の人材を外部から引き抜くことを戦略的に行っています。
その保険会社の動きは代理店でも似たような動きがあり、同僚が減れば減るほど、昇進のスピードは加速します。一旦落ち着いて周りの動きを観察して『静』の姿勢で謙虚に仕事をするのも一つの作戦でしょう。
もしも、家族などが養えないほど経済的窮地に現時点でなっている場合は、保険業と密接な関係がある業種への転職も有効でしょう。
特に自動車のディーラーなどは『保険専任者』を置き、手数料率の確保をしようと動いているディーラーも多いです。このディーラーの需要はチャンスだと言えます。
上手くいけば、クルマの販売もしつつ、保険の責任者になれば安定し高収入になるでしょう。しかし、クルマの業界もハードワークなので向上心がある方だけにオススメしたいと思います。
今後の保険代理店業と将来
最終的に近い将来、保険代理店は今よりも更に6〜7割以上がなくなると考えられています。その理由はIT化が更に進み、ネット型通販よりも進化したビジネスモデルやシステムが完成すれば営業マン自体が不要になってしまうからです。
実際多くの経済誌で今後、『縮小・なくなる職種』に保険代理店業は常にランクインしているのも事実です。
保険業を仮にも自分の職にしていくのであれば、その職に対してのリスク管理をすることが急務です。